足場について

足場工事は、外壁や屋根の塗装にはほぼ必ず必要になる工事です。
作業の安全性や施工品質を維持するために、作業する場所の高さが2メートル以上になると必要になります。
戸建住宅の塗り替えなどで使用される足場は、塗装業者が自社で持っている足場を架設することも多いのですが、マンションやアパートなどの集合住宅やビルなどの大規模な作業になると、専門の足場業者が架設工事を行います。
足場工事費の中には足場の架設や撤去、作業中に塗料や汚れが周りに飛ばないようにするための飛散防止ネット、足場を架けるために必要な材料の運搬費などが含まれています。
塗装作業のためだけに設置され、塗装が終われば解体されるため、その重要性をあまり知らない方からは足場代が無駄な出費だと思われてしまいがちですが、この足場がなければ丁寧に細部まで塗装することも、職人の安全を守ることもできません。
稀に「足場架設なしでハシゴだけあれば作業できます」と謳う業者もいますが、そのような場合、まず満足のいく仕上がりは期待できません。
安定感の悪いハシゴを使って建物全体をしっかりと洗浄し塗装することは、まともな業者なら不可能だとわかっているからです。
決して安くないお金がかかってしまいますが、足場は確かな品質をお約束するためには必要なものなのです。

足場部材の名称

足場はいくつかの部材を組み合わせて作られます。

支柱

足場の設置面(地面)から足場最上部まで伸びる柱です。

控え柱

柱と柱を組み合わせたものを対角線に斜めに渡して繋ぐ部材です。
この斜めに入れた筋交いで足場の強度が増し、安定します。

養生シート

作業中に塗料や汚れが周りに飛んだりしないようにと、安全確保のために取りつけます。
強風のときなどはシートが風であおられないよう一時的に外すこともあります。

踏み板

作業員がここに乗って作業をしたり、作業場までの通路になります。

ブラケット

柱と踏み板を支えるために水平面に斜めに取りつける部材です。
風や地震などの振動から足場を安定させます。

階段

1階部分から2階部分へ、2階部分から屋根へと足場を移動するために使用します。
設置場所が広いと設置しやすくなります。
階段があることで作業性と安全性が増します。

足場の種類

戸建住宅や低層の建物によく使用される足場などをご紹介します。
作業する場所、広さ、高さなどに合わせてどの足場を組むかが決められます。

クサビ式足場

足場の部材にクサビが備えられており、クサビをハンマーで打ちこんで固定し組み立てる足場です。一般的な住宅塗装に最も採用されている足場です。
設置場所に多少の広さが必要になりますが、足場のなかでは最も短工期で架設でき、低コストでありながら、強度や耐久性は高いコストパフォーマンスの良い足場です。

枠組み足場(ビディ足場)

門の形に溶接された枠に支柱や控え柱の筋交いを組み合わせて建てる足場です。
施工の高さが地上45メートルまで可能になります。
組み立てや解体が楽で強度も高いのですが、コストが嵩みがちになります。

単管足場

直径48.6ミリの単管と呼ばれる鉄パイプを組み合わせて建てる足場です。
パイプ同士を繋げて組み合わせるので、小規模な工事や狭い作業場所などに適しています。
狭い場所には向く半面、1本ずつ組み立てるため足場を設置するための工期が長くなりがちで、コストも嵩みます。

吊り足場

上から吊り上げる足場です。危険性が高いため、足場の組み立てなど作業責任者を置かなければいけません。
橋やプラントといった作業場所で使用されます。
地面がなくても足場を置けますが、この足場での作業には危険が伴いますし、コストが高くなります。

移動式足場(ローリングタワー)

下部に移動のためのキャスターがついており、人の手で容易に移動させることができる足場です。
鋼管をやぐらのように組み立てて作ります。
天井や外壁の仕上げ作業を行うのに適しています。
組み立て解体や移動が楽ですが、設置するには平坦で広い場所が必要になります。