水性塗料と油性塗料の違い

水性塗料のメリット・デメリット

水性塗料は、その名の通り塗料の主成分が水でできています。
水性なので塗料にありがちな臭いの強さが抑えられるため、内装用としても使用することができます。
保管にも特に注意点などがなく、価格もあまり高額ではないため内装、外装問わず多くの場面で使われています。
環境への影響も少ないうえ、施工がしやすいことで手間や人件費が抑えられるため、水性塗料を使った塗り替えは全体的に費用を抑えることができます。

水性塗料のデメリット部分としては、耐候性が油性塗料と比べて落ちることです。
最近の塗料は改良が進み性能が上がったことで以前と比べると格段に違いがあるわけではないのですが、それでも油性塗料と比べると耐久性は劣る傾向にあります。
また、水性塗料の特性として、塗料に含まれている水分が蒸発することで塗膜を形成するため、気温が低かったり(5℃以下)、湿度が高い日(85%以上)や雨天時には施工することができません。
そのため、水性塗料を使った塗り替えには冬や梅雨時期などを避けておこなう必要があります。

油性塗料のメリット・デメリット

油性塗料は、その主成分がシンナーなどの有機溶剤でできています。
この有機溶剤が揮発することで塗膜が形成されるのが油性塗料の特徴です。
水性塗料と比べて塗料の密着性が良く、水性塗料であれば必要となる下塗りをしなくてもそのまま塗ってしまえる部分が多くなります。
塗料の乾きも早いため施工時間が短く済み、塗膜にも美しい光沢があり、耐久性や耐候性も一般的に水性塗料より油性塗料のほうが優れているといわれています。

しかし、主成分が有機溶剤でできているため、揮発時に臭いがかなりすること、燃えやすいため保管には厳重な注意が必要なこと、塗料を塗る際に使った刷毛などを専用の溶剤が必要となることなど扱いにくい面があります。
2つの溶剤を混ぜて使用する2液型の油性塗料の場合は、一度溶剤を混ぜてしまうと6~8時間以内に使い切らなければ固まってしまうため使い回しができないことや、主成分の違いなどから水性塗料と比べると費用が多くかかります。

水性と油性、上手に使い分ける

近年住宅の密集化が進む地域では、外壁の塗り替えに際しご近所に臭いなどの迷惑がかかるのを心配して臭いの少ない水性塗料を選ぶというところも増えています。
1液タイプで施工や保管が楽な水性塗料は自分でDIYをする方にも馴染みがあり、環境への負担も少ないうえに性能の向上も相まって、昔の「塗装は油性塗料が最上である」という認識は薄れています。
反対に、隣近所への臭いもあまり問題ではなく、しっかりと耐候性のある塗料を求めている方からは未だ油性塗料は人気があります。
特に海沿いや雨が多い地域などでは耐候性の高い塗料が向きますし、水性塗料の性能が向上した現在でも、2液型の油性塗料の仕上がりはどの塗料も敵わないといわれています。

どちらのタイプの塗料もメリットとデメリットがあり、大切なのは自宅のある場所の環境や周囲の家への影響などを考慮して選ぶということです。
水性塗料 油性塗料
塗料の主成分 シンナー等有機溶剤
液型タイプ 1液型(そのまま塗装) 1液型(そのまま塗装) 2液型(溶剤と硬化剤を混ぜて使用)
内装への使用 可能 不可能
保管の注意点 特になし 火気厳禁、換気重要
メリット ・  比較的安価に施工可能 ・  臭いがあまりしない ・  環境にあまり影響がない ・  耐久性、耐候性に優れる ・  塗料の密着性が良い ・  光沢などの仕上がり面が優れる
デメリット ・  耐久性、耐候性は劣る ・  塗料が着きにくい部分には下塗り等の処理が必要 ・  低気温、高湿気は施工不可 ・  塗料が乾く際に強い臭いがある ・  費用が高くなりやすい ・  2液型は使い回し不可