漆喰(しっくい)の重要な役割

漆喰は、石灰に水や油、繊維などを混ぜて作られた、日本古来から使われてきた建材のひとつです。
混ぜるものによって名前が変わることもあります。
古くに建造されたお城が今日まで残っていることからもわかるように、漆喰はとても耐候性が高く、防水、調湿、耐火など実に様々な機能を備えています。
一般的には、漆喰は建物の屋根や棟の部分に使われます。
瓦と瓦をしっかりと固定するための接着剤のように使われ、同時に瓦の隙間から雨水などが侵入しないようにするための防水剤の役割も果たしています。
漆喰の機能性の高さが改めて注目されることで、屋根や外壁だけでなく部屋の内装として漆喰の塗り壁を使った住宅なども増えています。

漆喰の役割

屋根を守る

主な漆喰の使用場所は瓦屋根です。瓦自体を接着し、棟瓦を固定するために使われています。
昔は今のように性能の良くて施工の楽なコーキング剤はありませんでしたので、防水性の高い漆喰が利用されてきました。
漆喰は瓦同士がズレたり、棟瓦下の積土が崩れてしまわないように固定したり、瓦の隙間から雨水などが下地に入り込んでしまわないように防いでくれる役割もあったのです。
建物は、屋根の下地が痛むと構造に影響し、建物自体の寿命を早めてしまいます。
屋根を守る漆喰は、建物全体を守ってくれているともいえます。

外壁を守る

漆喰は外壁材としても古くから利用されてきました。
外壁材としての漆喰は、建物を太陽の熱だけでなく外気の温度や湿気からも守ってくれる役割があります。
漆喰の細胞構造が多孔質(穴が多く開いている)ため、藻やカビも発生しにくくなります。
そして耐火性も非常に高いのも特徴です。
そのため、漆喰は古くからお城を戦の火から守ったり、大切なものを火事や外気から守る蔵の外壁材として様々な場所で使用されてきたのです。

部屋の空気を整える

漆喰は多孔質なので、内装の壁に施工することで優れた調湿性を発揮します。
湿気の多いときは余計な湿気を吸い込み、乾燥気味なときは溜めこんだ湿気を室内に放出し、湿度を整えます。
また、漆喰の主成分である石灰は強いアルカリ性を持っているため、有機物を分解殺菌してくれる効果があります。
花粉や動物の毛にアレルギーを持つ方やウイルスの影響を受けやすい方などが安心して過ごせる部屋を作ることができます。

漆喰のメンテナンス時期

漆喰は時間が経っても劣化しにくい素材ではありますが、地震や何かがぶつかったことによる衝撃などでヒビが入ったり、崩れることがあります。
どのような状態になっていたらメンテナンスをしたほうが良いのか、その目安となる症状をご紹介します。

瓦がズレている

屋根瓦や、瓦の一番上にある棟瓦がズレていたり位置が歪んでいるときは、瓦を留めている漆喰が崩れてしまっていることを表しています。
この場合は、一度漆喰を取り除き、新しい漆喰で埋めて補修をします。
瓦は割れていたりしなければ再利用します。

大きなヒビが入っている

漆喰にヒビはつきものです。
素材の性質上どうしても起こり得る細かいヒビ(ヘアークラック)は問題ありませんが、もし漆喰に大き目のヒビが入り、ヒビの周りを指で触ってみて剥がれや浮きを感じたら、補修が必要になります。
この場合はヒビの程度にもよりますが、一度漆喰を剥がしてしまって、再度きっちりと塗り直すほうが以降の寿命が延びることになります。

白い粉が落ちている

屋根や漆喰の外壁の近くにポロポロとした細かい白い粉のようなものがよく落ちているようになったら、漆喰が剥がれてしまっている証拠です。
環境にもよりますが、漆喰は10年ほどで下地に密着する力が弱まると言われていますので、長期間塗り替えをしていない場合は劣化した外壁等を一度全て剥がし、新たに塗り直す作業が必要になります。
特に屋根の漆喰が剥がれてしまうことは、屋根の下地や構造に影響がでることにもなるので、早めのメンテナンスをおすすめします。