ほとんどが廃番となっている、セメント瓦やコンクリート瓦の一種

モニエル瓦

モニエル瓦は、一般的に言うセメント瓦やコンクリート瓦の一種です。
セメントと水、砂利や砂といった骨材を混ぜて押し出して成形し、着色塗装を施したものをいい、そのような瓦を大きくまとめて洋瓦と呼び、それがモニエル瓦、コンクリート瓦、パラマウント瓦、スカンジア瓦、セメント瓦など様々なものに分けられます。
モニエル瓦はスラリー層という塗膜層があるのが特徴です。
セメントで成形された瓦の上に、まずスラリー層という着色層があります。
瓦の色はこのスラリー層の色になります。
その上からクリアー層というスラリー層を保護する層がある3層からできているのがモニエル瓦です。
モニエル瓦のほとんどは既に廃番になっており、新たに製造はされていないようです。
今現在、日本に存在しているモニエル瓦の在庫がなくなったら、新規でモニエル瓦屋根を施工することはできなくなるでしょう。
以前はスレート瓦と並んでとても施工数の多い屋根材でしたが、モニエル瓦よりも耐久性や性能が高い屋根材が製造されているため、そちらに切り替わってきています。

モニエル瓦のメリット

遮熱効果が高い

素材自体が頑丈なため、太陽熱などを屋根で止めることができます。

防音効果がある

素材が音を通しにくいため、騒音がある地域であったり、趣味で楽器を演奏する方などにおすすめです。

モニエル瓦のデメリット

割れやすい

比較的割れやすいセメント瓦ということもあり、地震の振動や飛んできた物が当たるといった理由で瓦が割れることがあります。
塗膜が劣化することで更に割れやすくなりますので、定期的なメンテナンスが必須になります。

定期的な塗装が必要

モニエル瓦は塗料による塗膜によって屋根材が保護され、性能が維持されます。
そのため、定期的に塗料の塗り直しを行い屋根材自体の性能を保つ必要があります。
塗装を行わないまま放置すると、セメントに含まれるカルシウムが溶け出し、瓦自体が使いものにならなくなります。

塗装が難しい

モニエル瓦の特徴でもある着色スラリー層の上のクリアー層が経年劣化して剥がれ落ち、スラリー層に苔や汚れが付着してしまい、塗料の塗り直しを行うとき、スラリー層の上に塗装した塗料の密着が悪いため、すぐに剥がれてしまうことがあります。
これはモニエル瓦の特性上なかなか避けようのない問題でしたが、スラリー層をしっかりと除去し、モニエル瓦の塗装に合う下塗り剤や塗料が開発されたため以前よりは起こり辛くなりましたが、塗料の剥がれや浮きは起こりやすい屋根材であるという理解が必要です。

モニエル瓦のメンテナンスの目安

塗膜の剥離

モニエル瓦は瓦・着色スラリー層・クリアー層の3層構造になっています。
経年劣化によりまずクリアー層が剥がれ、そのあとスラリー層が剥がれてきます。
クリアー層が剥がれると、苔や汚れが付着しやすくなるため、急に屋根が汚れたような印象を受けるかもしれません。

瓦が割れる、ヒビが入る

何か物が当たったりして瓦が割れたり、ヒビが入ると、そこから雨水が浸水して屋根の下地などを傷める原因となります。

モニエル瓦のリフォーム

塗り直しをするとき

モニエル瓦のスラリー層は塗料の密着が悪いため、塗り直しをしても剥がれや浮きが起こりやすくなります。
そのため、塗り直しを行うときはモニエル瓦に合う塗料や下塗り剤を使用したうえで、スラリー層をしっかりと除去するという作業が必要になります。
この除去作業が手抜きだと、再び塗料が剥がれてくる原因となります。

瓦を取り替えるとき

モニエル瓦の場合は割れた部分だけを取り替えることができるため、補修は比較的簡単ですが、モニエル瓦を製造する会社が減ってきているため、既に製造されていない色の瓦の場合は似た色のものを代用する等が必要になるかもしれません。