粘土を成形した焼き物の屋根材

日本瓦

日本瓦は、その名の通り古くから日本の家屋に使用されてきました。
粘土を瓦の形に成形し焼いた焼き物の屋根材です。
日本瓦には、瓦の形にした粘土に釉薬をかけ窯で焼き上げた陶器と同じ方法で作られた「釉薬瓦」と、釉薬をかけずに成形した粘土をそのまま窯で焼き上げた「無釉瓦」があります。
無釉瓦は、さらに松材や松葉を使っていぶした「いぶし瓦」といぶしや釉薬を使わず粘土そのままの自然な色の「素焼き瓦」に分けられます。

いぶし瓦

いぶし瓦は瓦全体が深い銀色のような色合いになり、純日本建築や和風な建物にとてもよく合います。
表面に燻化(くんか)と呼ばれる炭素による膜を作る処理が施された色は、天候によって光沢のある美しい銀色に見えたり、しっとりと落ち着いた青に見えたりと、いつ見てもそれぞれ違った顔を見せてくれます。
近年では洋風モダンな住宅に使われることも多くなっています。

素焼き瓦

素焼き瓦は薬などを使用しないため、粘土が窯の中で酸化して明るい赤色になるため、別名赤瓦とも呼ばれています。
こちらはスペインの建物にも古くから使われているスペイン瓦と同じ手法で作られているため、洋風な建物に良く合います。
天然の酸化現象によって色がついているので1つ1つの瓦が全て異なる色合いであり、それが最大の特徴です。

日本瓦のメリット

耐久性が高い

日本瓦は断熱性に優れ、耐久性も高い屋根材です。
昔から何十年何百年と続く歴史的な建物の屋根材としても使用されていることから、その耐久性の高さがわかります。

断熱性、遮音性が高い

昔の日本家屋は夏でも比較的涼しい印象がある方も多いと思います。
平均気温が低かったというのももちろんですが、昔の住宅はほとんどが日本瓦でできており、屋根から太陽の熱が入ってこなかったことも大きな要因のひとつです。
遮音性も高いので、周囲の音が気になったり、自宅から出る音を気にすることもなくなります。

メンテナンスが楽

日本瓦は、割れなければ半永久的に使用することができる、非常に優秀な屋根材です。
耐久性も高く、釉薬によって焼きつけたり、粘土を燻化させたり、元々素材が持っていた色をそのまま出すといった手法で色がついているため、塗料が剥がれてきたり、定期的に塗料を塗り直す必要がありません。

日本瓦のデメリット

重量が重い

日本瓦の一番のデメリットがこの重量の重さです。
一般的なスレート瓦と比べると、その重さは2倍~2.5倍ほどもあります。
そのため、構造がしっかりした建物に使用しないと地震などの影響を受け倒壊を招く恐れがあります。
ただし、住宅の建設基準を法的にクリアした構造の建物であれば、日本瓦を施工しても耐震性に問題はないといわれています。

修理費用が高い

日本瓦は瓦自体の価格も一般的な屋根材と比べて高めですし、修理箇所によっては瓦ひとつを交換して済む場合もあれば、屋根全体を修復しなければいけない大修理になる場合もあります。
そのため、修理にかかる費用は高めです。

日本瓦のメンテナンスの目安

瓦の割れ

強風でモノが飛ばされてきて部使ったり、強い地震で瓦同士がぶつかる等の原因で瓦自体が割れることがあります。
放置しておくと屋根の下地に雨水などが浸水し、下地や構造を劣化させる原因となります。

漆喰の崩れ

瓦を押さえる漆喰が崩れていると瓦がズレつ原因となります。
強い風や地震などで振動が何度も加えられることで少しずつ崩れていきます。

棟瓦のズレ

棟瓦(むねがわら)は、屋根の棟に用いられる瓦で、熨斗瓦、雁振(がんぶ)瓦とも呼ばれます。
ここがズレてしまうと雨水が屋根の下地に浸水したり、瓦がズレてしまう原因となります。

日本瓦のリフォーム

瓦の葺き替えが必要なとき

瓦が破損した場合、その瓦部分のみを葺き替えれば済む場合は瓦だけを交換します。
棟瓦などに影響が出る部分に修理が必要になった場合は、屋根の大部分を葺き替えることもあります。
破損した瓦を取り除き、下地部分に傷みがないかを確認し、下地まで傷みがでていた場合はその部分も修復する必要があります。

棟瓦の積み直しが必要なとき

棟瓦は屋根の頂上部のことを指し、ここで屋根全体の瓦を最後に押さえているような形になっています。
ここが劣化していた場合は、棟瓦を撤去したあとに下地を整え直し、漆喰や葺き土を積んで再び棟瓦を載せます。
瓦自体に傷や割れがなければ、瓦はそのまま再利用できるのも瓦ならではです。