先々のメンテナンスを考慮しつつ、建物に合った屋根材を選ぼう

屋根材について

屋根は建物の上にあるせいで、普段あまり目の届かない場所のひとつです。
しかし、建物の中で最も過酷な環境にある場所でもあります。
太陽からの紫外線、雨や雪、風や台風など様々な天候から私たちを守ってくれているのです。

屋根に使われる屋根材はどれを選んでも同じというわけではなく、その建物の構造や屋根の仕様に合った屋根材を選ぶことが大切です。
構造的に弱い建物に重い瓦を載せてしまえば、地震が起きたときに建物が重さに耐えきれず崩壊する危険がありますし、雨が多い地域で耐水性の低い屋根材を使ってしまうと、屋根の劣化が早くなったり、雨水が屋根内部に浸水して腐食やカビが起こる原因にもなります。
そして天候の影響を真っ先に受ける場所なので、定期的なメンテナンスも欠かせません。
先々のメンテナンスのことを考えながら、コストと性能のバランスが良い屋根材を選ぶことが重要です。

また、屋根は外壁と並んで建物の印象を決める重要な部分です。
屋根の色や形が、その建物の印象や、果ては住んでいる方の印象まで決めてしまうといっても過言ではありません。
シンプルな屋根の形であっても、屋根の色が明るいか暗めかでも受けるイメージは大きく異なります。逆に言えば、屋根の色を変えるだけで簡単に建物のイメージチェンジが出来てしまうのです。屋根材のメンテナンスに併せて新しい色の塗料に挑戦してみるのも良いかもしれません。屋根をあらゆる天候から守りつつ、建物と屋根材に合った塗料がきっと見つかると思いますので、お気軽にご相談ください。
こちらでは、そんな屋根材についてご紹介していきます。

粘土を成形した焼き物の屋根材

日本瓦

日本瓦は、その名の通り古くから日本の家屋に使用されてきました。
粘土を瓦の形に成形し焼いた焼き物の屋根材です。
日本瓦には、瓦の形にした粘土に釉薬をかけ窯で焼き上げた陶器と同じ方法で作られた「釉薬瓦」と、釉薬をかけずに成形した粘土をそのまま窯で焼き上げた「無釉瓦」があります。
無釉瓦は、さらに松材や松葉を使っていぶした「いぶし瓦」といぶしや釉薬を使わず粘土そのままの自然な色の「素焼き瓦」に分けられます。

いぶし瓦

いぶし瓦は瓦全体が深い銀色のような色合いになり、純日本建築や和風な建物にとてもよく合います。表面に燻化(くんか)と呼ばれる炭素による膜を作る処理が施された色は、…

素焼き瓦

素焼き瓦は薬などを使用しないため、粘土が窯の中で酸化して明るい赤色になるため、別名赤瓦とも呼ばれています。こちらはスペインの建物にも古くから使われているスペイン…

日本瓦のメリット

耐久性が高い日本瓦は断熱性に優れ、耐久性も高い屋根材です。昔から何十年何百年と続く歴史的な建物の屋根材としても使用されていることから、その耐久性の高さがわかりま…

日本瓦のデメリット

重量が重い日本瓦の一番のデメリットがこの重量の重さです。一般的なスレート瓦と比べると、その重さは2倍~2.5倍ほどもあります。そのため、構造がしっかりした建物に…

日本瓦のメンテナンスの目安

瓦の割れ強風でモノが飛ばされてきて部使ったり、強い地震で瓦同士がぶつかる等の原因で瓦自体が割れることがあります。放置しておくと屋根の下地に雨水などが浸水し、下地…

日本瓦のリフォーム

瓦の葺き替えが必要なとき瓦が破損した場合、その瓦部分のみを葺き替えれば済む場合は瓦だけを交換します。棟瓦などに影響が出る部分に修理が必要になった場合は、屋根の大…

ほとんどが廃番となっている、セメント瓦やコンクリート瓦の一種

モニエル瓦

モニエル瓦は、一般的に言うセメント瓦やコンクリート瓦の一種です。
セメントと水、砂利や砂といった骨材を混ぜて押し出して成形し、着色塗装を施したものをいい、そのような瓦を大きくまとめて洋瓦と呼び、それがモニエル瓦、コンクリート瓦、パラマウント瓦、スカンジア瓦、セメント瓦など様々なものに分けられます。
モニエル瓦はスラリー層という塗膜層があるのが特徴です。
セメントで成形された瓦の上に、まずスラリー層という着色層があります。
瓦の色はこのスラリー層の色になります。
その上からクリアー層というスラリー層を保護する層がある3層からできているのがモニエル瓦です。
モニエル瓦のほとんどは既に廃番になっており、新たに製造はされていないようです。
今現在、日本に存在しているモニエル瓦の在庫がなくなったら、新規でモニエル瓦屋根を施工することはできなくなるでしょう。
以前はスレート瓦と並んでとても施工数の多い屋根材でしたが、モニエル瓦よりも耐久性や性能が高い屋根材が製造されているため、そちらに切り替わってきています。

粘板岩を薄い板状に加工した屋根材

スレート瓦

スレートとは、粘板岩を薄い板状に加工したものをいい、屋根の仕上げ材や外壁材などで使用されています。
スレートには、粘板岩を素材とした「天然スレート」、セメントと石綿(アスベスト)を高温高圧で養生、成形した「石綿スレート」があり、石綿スレートは近年では環境問題面から、現在では石綿の代わりに人工繊維などを使用したスレートが製造されています。
天然スレートは重厚感があり、見た目が美しいのが特徴ですが、衝撃に弱いため耐震性が低く、最近はあまり使用されていません。
石綿スレートは、薄型化粧スレートとも呼ばれ、こちらは軽量なため耐震性が高く、安価で選べる色が多いため、一般住宅で多く使用されていました。
近年では、優秀な屋根材が開発されたことにより、スレート瓦を選択する方が減少したことに伴い、日本瓦型のスレート材はほとんど製造されなくなっています。
こちらでは石綿スレート瓦(薄型化粧スレート)についてご紹介します。